【感想】
第27回きもの文化塾に参加して
京都伝統産業ふれ合い館 専務理事 八田誠治
7月15日(水)、京都文化博物館において、きものの所有枚数でギネス記録に認定された樋口冨喜子さんのコレクション「染織の人間国宝と時代衣装展」に参加する機会を得ました。当日は樋口さんの解説と質疑応答の機会も設けられ、予定の1時間を遥かに超えていました。ギネスに認定された3,045点の中から選りすぐりの80点は、きものマニアならずとも垂涎のきもののオンパレードでした。
展示場入口の、初代龍村平蔵氏の丸帯国宝日暮文蒔絵錦に目を奪われる間もなく、江戸末期の打掛のオンパレード。加賀友禅小袖もさることながら黒色繻子刺繍打掛、水色綸子刺繍打掛の色使いの美しさは現代でも通じ、決して時代の移り変わりを感じさせるものではありませんでした。刺繍の技法もさることながら、使われている正絹の繍糸も色あせていませんでした。また中着と打掛との色の組合わせは襲色目を基準にしていると思われましたがかなり大胆な色使いで、現代でも十分通じるか、と思われました。
人間国宝のコーナでは、織物の北村武資氏、喜多川平朗氏、甲田栄佑氏など、友禅では芹沢奎介氏、稲垣稔次郎氏、田畑喜八氏などが図案、色使いに思わずため息が出るほどの華麗な雰囲気でした。その中で久留米絣の松枝玉記氏、森山虎雄氏の藍の色使いが人目を引いていました。江戸小紋の小宮康助氏、長板中形の清水幸太郎氏の技がさえていました。
きもの文化検定を受験される方がおられたら、この展覧会は絶対に役立つものと確信をしています。
最後の質疑応答のコーナでは「3045枚の私のこどもたち」という言葉を使っておられ、樋口富貴子氏の着物への愛着の深さを感じた1時間半の見学会でした。
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